WHOコラボレーティングセンターとは

出典: 聖路加看護大学史編纂資料室

目次

WHOコラボレーティングセンター概要

WHOコラボレーティングセンターは、WHO指定研究協力センターと呼ばれ、WHO(世界保健機関 (World Health Organization))が日本政府の了解のもと、指定している研究領域において協力する施設です。4年を任期とし、最終年度に指定された研究領域の活動成果を見直して、再任命されます。

聖路加看護大学とWHOコラボレーティングセンター

聖路加看護大学のWHOコラボレーティングセンターは、プライマリ・ヘルス・ケア看護開発協力センター[1]と称し、1990年(平成2)にWHOから任命されました。任命された時のセンター体制は、聖路加看護大学を事務局として、千葉大学看護学部、東京大学医学部保健学科看護学講座、国立公衆衛生院看護学部(当時)の四施設の協働体制でした。その後、各施設の事情とコラボレーティングセンターの任命条件の改正で、第四期の2003年(平成15)から、聖路加看護大学単独で活動するようになりました。本看護開発協力センターの構成員は、聖路加看護大学の全教員であり、本学看護実践研究開発センターの国際部門がその事務局となっています。

プライマリ・へルス・ケア

日本にプライマリ・へルス・ケアの看護開発協力センターが出来た背景には、人々の健康増進に格差が広がり新たな健康課題が浮上し、看護・助産職の力が必要になったことがありました。1948年(昭和23)にWHO憲章が採択され、WHOが正式に発足し、加盟国の健康の推進の技術援助を進めてきました。その後、1978年(昭和53)に採択されたアルマ・アタ宣言の中で、開発途上国向けの健康創造のための保健活動を明確にし、プライマリ・ヘルス・ケアの進め方が示されました。さらに、1986年(昭和61)に、ヘルスプローモーションに関するオタワ憲章が採択され、先進国向けの健康増進の戦略を明確にして、各加盟国は健康増進を展開してきました。そのような折、国民の健康状態が改善された国と改善が思うように進まない国の健康格差が明確となりつつありました。その解決にはプライマリ・ヘルス・ケアをさらに推進することが重要であり、そのために、看護・助産を強化する必要がありました。この目標を達成するために、プライマリ・ヘルス・ケア看護コラボレーティングセンターが指定されたのです。西太平洋地区においても、コラボレーティングセンターを増やすために、日本にも呼びかけがあり、プライマリーヘルスケア看護開発センターが組織され任命を受けました。


聖路加看護大学のWHO看護開発センターの目標

聖路加看護大学のWHO看護開発センターの目標は、プライマリ・ヘルス・ケアを促進するための教育、実践、研究を国内・国外の研究・教育機関と連携して推進することです。2008年(平成20)から始まった第五期の活動目標(Terms of Reference)には、次に揚げる四つがあります。

1.ミレニアム・デベロップメント・ゴール(二一世紀の開発目標)と少子高齢化に貢献する看護実践モデルを開発すること。

2.プライマリ・ヘルス・ケアにおける看護のリーダーシップを推進する。特に、人々のための人々による健康を実現できる実践モデル開発を推進する。

3.個人・家族・地域のエンパワーメントを目指し、エビデンスを用いて実践例の開発と研究を行う。

4.プライマリ・ヘルス・ケアにおける看護・助産についての教育と実践を向上するため、研究やシステムの改革を支援する。

 具体的には、世界の看護・助産コラボレーティングセンターとのネットワークの中で、開発途上国の看護・助産の量的・質的改善に寄与できる研究活動を進めています。また、日本国際協力機構が開発途上国から受け入れている看護・助産のリーダーたちの研修の協力をしています。

研究の成果

事務局では、研究チームを作って、国際医療協力研究等の助成金を獲得して、研究を進めてきました。過去10年間に行った四つの研究は研究報告書としてまとめました。研究名は下記の通りです。特に、2002年度(平成14)から2004年度(平成16)の研究の成果から、翌2005年度(平成17)に修士課程に国際看護学のコースを開講しました。

過去10年の研究

・1999年度(平成11)  厚生省医療技術評価総合研究事業、看護の質の確保に関する研究  プライマリ・ヘルス・ケアに基づく看護モデルの開発 —都市型プライマリ・ヘルス・ケア看護モデルの評価および開発途上国におけるプライマリ・ヘルス・ケア看護モデルの開発—

・2000年度(平成12)  厚生労働省医療技術評価総合研究事業、看護の質の確保に関する研究  プライマリ・ヘルス・ケアに基づく看護モデルの開発 —高齢社会における看護モデルの開発—

・2002〜2004年度(平成14〜16)  国際医療協力研究委託事業 研究報告書、開発途上国における看護技術移転教育プログラムの開発に関する研究

・2005〜2007年度(平成17〜19)  国際医療協力研究委託事業 研究報告書、開発途上国の地域看護のあり方に関する研究、地域看護力強化のための人材育成プログラム開発協力・実践研究と評価

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